第2回 バイオマス燃料ってゼロカーボン?

前回 初回のバイオマスについてのブログではバイオマスとは何か? 地上のバイオマスと地下のバイオマスの分離がCO₂削減の課題であることScope1,2,3と言う温室効果ガスの排出責任の算定と理解がカーボンニュートラルへ近づく道となっていることを述べました。

今回はバイオマス燃料を取り上げたいと思います

バイオマス(biomass)」とは、生物資源(bio)と質量(mass)つまりカーボンで出来た生き物全体が含まれます。私たち人間も含め全ての生物はカーボン 元素Cの化合物と水で出来ています。ですから、乾けば人間も動植物も燃えます。そして体にオイルの化合物があると効率よく燃えます。燃えるという事は、炭素が酸素と結合する時、大きな熱を発する現象です

C(炭素) + O₂(酸素) → CO₂(二酸化炭素) + 熱(394 kJ/mol)

この時エネルギーと共に排出されるCO₂は地上に長年蓄えられたC:カーボンですから、排出と自然界の吸収のバランスが取れていることが前提で、プラス・マイナスがゼロ=カーボンニュートラルと言われています。
ですから、バイオマス燃料は基本CO₂を排出し削減効果はありません

カーボンニュートラルと同様に使われるゼロカーボンとは何でしようか?
ゼロカーボンとは
カーボン燃料の燃焼によって CO₂を排出しないエネルギーを生み出す仕組みを指して使われます。

太陽光発電・風力発電・重力発電(水力発電も含む)・地熱発電・水素燃料などはカーボンを使わないでエネルギーを発生させるのでゼロカーボンといわれます。

ではCO₂を排出するバイオマス燃料は価値がない?もしくは劣るのでしょうか?
そのことを考えていきたいと思います。

目次

人間の身体はバイオマスボイラ

この化学反応が燃焼です。同じことが体内でも起っています。 O₂(酸素)を吸い込み、ヘモグロビンに運ばれ、様々な細胞のミトコンドリアに届けられます。
糖や脂肪のC(炭素)化合物と細胞内で酸化する事でエネルギー(ATP)を生み出し、固い絆でマリッジしたCO₂は、呼気と共に大気へと旅立ちます。出来れば脂肪細胞と結びついて欲しいですね・・・

私たちの体は超優秀なバイオマス燃料ボイラーということが出来ます。

カーボンニュートラルの観点でいうと、地中に眠っている石化燃料は私たちの身体は基本代謝できません。自然由来の食品だけを食べてCO₂を吐いていると、地上のバイオマスサイクルという事ができます。ちょっと余談になりますが、昔の食品の中には石油由来のものが化学合成して使われていた時代がありました。色鮮やかなキャンディには、ベンゼンを使った合成着色料が使われていましたし、合成甘味料や、保存料、油を固めるためにトランス脂肪酸(マーガリンなど)の一部に使われていました。日本は規制が緩い場合が多かったので、私の子供のころはそんな食品を喜んで食べていました。

しかし、規制が見直されたり、食品メーカーの自主的な改善の努力によって、自然の材料によって食品が加工されるようになりました。たしかに日本は欧米を遥かに上回る1500もの食品添加物が認可されています。誤解のないように述べますが、それらの食品添加物を作るとき化石物質は使われますが、それは化学反応を起こすためであり、それが残留する事はないようです。もちろん食品添加物を大量に長期間摂取することは健康を害するでしょう。

しかしそれは、薬と同じです。薬の多くは量を間違えると毒にもなりますし、効能も薄れます。医学という知識と経験があると健康を取り戻したり増進させることも出来ます。

医学が発展すると同じように、食品添加物を扱う、食品メーカーや学界や厚生労働省の、になう食学(私の造語です、すみません)も進歩してきたのではないでしょうか。

私たちは医学をある程度信頼し、医者や製薬メーカーの薬を服用します。

同様に食品メーカーや規制基準を、ある程度信頼して食べます。

人によって信頼の基準は異なりますが、信頼する事と信頼に応えることの繰り返しで人の社会は営まれ、バランスの取れたニュートラルな状態になると言えないでしょうか。

あっ!!本当はバイオマス燃料の活用について書こうと思っていましたが、人体の燃料の話がヒートアップしてしまいました。すみません!! 第3回にはちゃんとバイオマス燃料の話に戻します。

健康は カーボンニュートラル !?

しかし、バイオマス燃料について考えるには、人の身体と食事について理解するのが近道だと思います。健康的なバランスの取れた食事と代謝は、カーボンニュートラルと言って過言ではないでしょう。
最近人気のマンガの「はたらく細胞」には人の不摂生が体内の活動を弱め災害のような悪影響を与える様子が描かれていました。

私たちは自分の身体のことだから興味深く関心をもって「はたらく細胞」や医学や健康などから情報を取り入れます。

でも自然の事となると、遠く広く感じて関心が薄れますし、他人事のように放置してしまいます。自然に対する不摂生の積み重ねが、自然の体調不良である異常気象や災害の増加という症状で現れてきているのではないでしょうか。


次回取り上げる(予定)バイオマスボイラーは地上のバイオマスのみを使うので
プラス⊕マイナス⊖=ゼロ0
CO₂を減らすわけではないが、排出もしない、持続可能でサステナブルな手段である・・とされてきました。
国はこの考えを支持し補助金を出し、企業はコストをかけてでも取り組んできました。

環境問題や異常気象は単なる自然のサイクルではないか、高いコストとを払って取り組むことはない、という意見も一理あると思います。しかし予防にコストをかける事は有効なように、自然の兆候に関心を払ってコストを払う事は子や孫のために必要なことだと私自身は考え行動したいと思います。

カーボンニュートラルの本質

バイオマス燃料の活用はもっとも古くからあるエネルギー活用技術です。
人は木を集めて、食料の煮炊きや生活に必要なものの加工を行ってきました。そしてもっと効率が良く、貯蔵運搬もしやすい炭が使われるようになり、植物や動物からとれた油が用いられました。やがて、地下から掘り出された化石燃料が用いられ文明は飛躍的に発展しました。文明の発展により人類が増加し、使うエネルギー量が飛躍的に増えたのです。
それでもある時期までは、CO₂や温室効果ガスの排出量は、自然の吸収量を下回っていました。
カーボンニュートラルであるか無しかに関わらず、排出量の増大が、自然の吸収量とスピードを下回っていることが最も重要なのです。
GDP「Gross Domestic Product」国内総生産が国の価値や力を表し、それを上げる事が人々の幸福を向上させられると信じられてきました。今、世界の人口は増え続けそれに伴い各国のGDPが膨らんでいきます。
このGDPの増大に比例して、温室効果ガスの排出量は比例して増え、反比例して自然の破壊により吸収量が下がっています。それではまずいと多くの国家や人々は、バイオマスの循環バランスを考えるようになりました。バイオマス燃料について考える事はそのバランスを制御するには欠かせない事です。

少子高齢化は危機ではなくチャンス?!

日本は少子化に伴い人口が減少し、GDPの減少も危ぶまれています。国や自治体は少子化対策に必死です。私も安心して子供が産める環境づくりが大切だと思います。
しかしこの状況は危機ではなくチャンスではないでしょうか?人口減少は環境負荷へのバランスが取りやすく様々な面で身軽になる事を意味します。コンパクトシティへの移行が必然的に進み、営みと産業が集約されていきます。故にエネルギー使用の効率化が図られ、環境負荷が低減します。

人口が減っても、知識や知恵や技術ノウハウは蓄積されます。日本は高度な科学大国でありながらフットワークはどんどん軽くなっていくのです。逆にこれから人口が増える国々は国民を支えるために無理をし続けなければなりません。
環境技術を発展させることは、環境先進国として名を馳せるチャンスになります。
それは何を意味するでしょうか?今国家間のモラルの低下が世界中を脅かしています。超大国が軒並みモラルを失いその信頼度が低下しています。環境先進国として名を馳せるという事は、数少ない信頼に足る国になることに繋がります。

信頼は取引を円滑にし物流を安定させます。そして優秀な人材が集まる環境が生まれます。
今アメリカでは高い技術をもち、モラルの高い人材の流出が加速しています。そうした人材の確保は更なる発展につながります。そこから生まれる環境技術は大きな輸出産業になりえます。なぜならそれは世界中が喉から手が出るほど欲しいものでありマーケットが広がり続けているからです。アメリカはその競争から自らおりました。日本はその市場のトップランナーになる条件の多くを持っていると言えるでしょう。環境技術と信頼はGDP以上の価値があります。少子高齢化先進国の日本は削ぎ落しバランスを取り洗練する点でトップランナーとなれるのです。これは危機ではなくチャンスではないでしょうか。

次回からは、バイオマス燃料の価値と実際に抱えている問題と課題、その解決のための取り組みについて取り上げていきたいと思います。

私たち自然とエネルギーはそうした、課題を解決しようと努力される皆様を結び付け、取り組みを応援していきます。

第1回 バイオマス ゼロカーボンへの道

第3回 バイオマスボイラー カーボンニュートラルを目指す

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この記事を書いた人

自然とエネルギーの代表取締役
20年にわたり1500件以上太陽光発電および蓄電池設備の施工を行い再エネ建築の最前線で活動してきました。
同時に、映像技術関連の業務を行い、動画写真撮影、イベントなどでの映像設備構築を行ってまいりました。

特にドローン等を用いた災害現場での映像情報の撮影活動も行い
2014年 Rescue3 (国際レスキュー資格)Technical Rope Rescue 山岳救助資格
2015年 Rescue3 Swiftwater Rescue 水難救助資格 取得

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